建築設備エネルギーラボ合同会社

建物が活きている限り、必ず設備更新の時が来てしまうという事実

建物に寿命があることはご存じと思いますが、建物の部位や部材によって寿命が異なることをご存じでしょうか。

部位ごとに違う寿命

建物を3つの部分にわけて考えることにします。

  • 構造(躯体)
  • 内装、外装
  • 設備

この中で、一番寿命が長いのは『構造(躯体)』で、鉄筋コンクリート(RC)造なら50年とも100年とも言われています。「法定耐用年数」という言葉がありますが、これは会計上(償却年数を計算するため)の年数で、構造(躯体)がいつまで使えるかは、建てられている場所や使われ方(用途)などによって変わってくるものです。

次に『内装』『外装』はというと、外壁材が30年ほどもつとしても塗装は10年程でくたびれてくる。フローリングは15年程大丈夫でもクロス(壁紙)は10年もすると剝がれたり日焼けしたりする。メンテナンスの状況によっても違ってくるものですが、建物って、部材によってもそれぞれ寿命が違うのです。

そして『設備』も同様に、10年程で寿命がきてしまう機器もあれば30年以上経っても動いている機器もある。私が今まで見てきた設備の中で、長寿命すぎてびっくりしたものと言えば50年以上動き続けている中央式の熱源(吸収式冷温水機)ですが、こういうものは本当にまれで、多くの場合20数年で更新されています。

建物とは、維持するためにお金がかかるもの

建物は、建設時に大きなお金がかかりますが、維持するにはそれ以上に大きなお金が必要なのです。建物が建設されてから解体されるまでにかかる費用の全体(ライフサイクルコスト)は、よく氷山に例えられますが、建設費は「氷山の一角」であって、海の上に出て見えている部分でしかないことを説明するためです。じゃあ海の中見えない部分、気付かれ難い費用とは何なのでしょうか。

  • <日々>水道光熱費、通信費、設備維持費(法定点検、保守)、清掃費、警備費、事務費
  • <毎年>租税公課、損害保険料
  • <10~20数年に一度>修繕費、更新費

この中で、電力や水道は毎日使っているし、点検・保守は日々行われていて、税金や保険料は毎年のことですから忘れられることはないのですが、20年先の修繕費や更新費用を準備している、という話は特に中小建物ではあまり聞きません。そんな未来のことまで準備しないですよね。でも、その時は必ずやって来るのです。その時がやって来て初めて「どうしたらいいんだろう?!」ということになるのです。

設備の寿命はそんなに長くはない

建設した建物を40年もたせようとしても設備は20年しかもたないので、少なくとも1回は設備を更新する必要があります。そう、建物が活きている限り、設備更新の時期は必ず来てしまうのです。とは言え、さすがに20年も先の準備をすることには無理があります。(本当は築10年程度で準備を始めて欲しいところですが)何かひとつでも設備が寿命を迎えたら、他の設備も寿命が近付いていると思って、すぐに対策を始めてください。設備の劣化や省エネルギーのポテンシャルについて診断を受けてみるのもひとつの方法です。更新にどの程度費用がかかるのか、水道光熱費がどの位削減できるのかを試算してもらえますので、その結果を踏まえて、いつ、何を、どのように更新するのか計画を策定して、来る時に備えることをお勧めします。

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