【私が建物の”調律師”になるまで②】幽霊テナントと、思考停止の夜。私はただの「操り人形」だった。
【私が建物の”調律師”になるまで①】設計図の「その後」を知りたくて飛び込んだ場所は、めまいがするほどの「歪んだ空間」だった。
先日、管理を受託していた築82年のレガシーシステム(通称:父)について、自社運用(自宅介護)から、専門ベンダー(介護施設)への業務委託(アウトソーシング)および移管を行った。
本案件の最大のボトルネックは、対象資産の「CPU(認知機能)が、重大事故(脳梗塞)を経た割に稼働している」点にあった。
通常、老朽化した資産はセンサー類が鈍り、環境変化に気づかないことも多いのだが、本件、元々の仕様である「自閉傾向(独自プロトコルへの固執)」に加え、認知機能が保たれていることにより「俺はまだ動ける(稼働率100%だ)」「なんで外部サーバーに移転するんだ」という、現状認識に基づいた激しい拒否エラーを頻発させていた。
管理者(私)としては、「いや、足回りはガタガタだし、排熱処理(感情コントロール)もできてないでしょ」と客観的データを示すのだが、プライドというファイアウォールが強固すぎて、アクセス権限が弾かれる日々。
これまで15年間、管理者(私)のリソースを大量投下し、オンサイト(自宅)での維持管理を行ってきた。しかし、以下の理由により、これ以上の自社運用は「経営リスク」であると判断した。
担当エンジニア(私)の工数圧迫: 本業である設備屋業務への支障。
BCP(事業継続計画)の欠如: 私が倒れたら共倒れになるという、冗長化されていないシステム構成。
資産価値の毀損: 限られた時間しかプロのメンテナンスを受けられないことによる、父本人のQOL低下。
情で語れば「親を見捨てるのか」となるが、PM(プロパティマネジメント)視点で語れば「適切な維持管理のための、合理的ベンダー選定」だ。
移送を実施。新しい環境(施設)は、もちろんバリアフリー、24時間体制の最新鋭データセンター。
到着時、まだ「自分でできる」とエラーを吐き続けていた対象資産(父)が、「ナースコール(サポート)を使う」と同意した瞬間、15年続いたデバッグ作業が終わった。
今回のオフバランス化(施設入所)により、私の手元には「管理監督」という役割だけが残る。これからはPMとして、月数回の定例報告(面会)とコスト管理を行っていく。
父にとっても、私という「口うるさい管理者」から解放されプロのオペレーターに委ねるほうが、結果的には快適なはず。
以上、レガシーシステム運用報告を終わる。さ、空いたリソースで私は私のシステムを回す。