【私が建物の”調律師”になるまで②】幽霊テナントと、思考停止の夜。私はただの「操り人形」だった。
【私が建物の”調律師”になるまで①】設計図の「その後」を知りたくて飛び込んだ場所は、めまいがするほどの「歪んだ空間」だった。
賃貸暮らし、特に古い家を渡り歩く「引越し魔」の私にとって、照明スイッチの位置は永遠の課題。 玄関から遠すぎるスイッチ、廊下の途中にないスイッチ。 暗闇の中、手探りで壁を撫で回すのはストレスだし、何より「照明がついていないと危ない」。
かといって、つけっぱなしは電気代の無駄。私の美学に反する。
そこで私が実践しているのが「照明器具(ハード)をいじらず、電球(ソフト)で制御する」という手法。
今回は、廊下のダウンライト(E26口金)を例に、引越し魔のための「LEDハック」を解説する。
電気工事士の資格がある人でも、賃貸のスイッチや器具を勝手に交換するのは、原状回復という壁を考えると避けた方がいい。しかし、電球の交換なら誰にも文句は言われない。
私は、廊下や階段のダウンライトには必ず「人感センサー付きLED電球」をねじ込む。 両手が荷物で塞がっている時、パッと明かりが灯る。通り過ぎれば勝手に消える。これは単なる便利グッズではなく、「私の生活を自動化するシステム」だ。
そして最大のポイントは、「退去時に持って行ける」こと。 高機能なセンサー電球は、家主さんの設備ではなく、私の「資産」である。次の家でも、ねじ込んだ瞬間からそこは私の快適空間になる。
ただセンサーならいいわけではない。自宅で仕事をする 私は「色温度(ケルビン:K)」を使って、家の中に明確な「光のゾーニング」を施している。
生活エリア(1階):電球色(約2,700K)
廊下や水回りなどの生活動線。ここは副交感神経を優位にする「オレンジ色の光」一択。 夜トイレに起きた時、白い光だと目が覚めてしまうが、電球色なら穏やかに導いてくれる。それは「ここから先は仕事をしない」というオフの結界でもある。
仕事エリア(2階):昼白色(約5,000K)
ワークスペースは、交感神経を刺激する「白い光」にする。ここに入った瞬間、脳が「業務モード」に切り替わるように設定している。
1階の「電球色」から、階段を上がって2階の「昼白色」へ。 この光のグラデーションを通過することで、自宅にいながらにして「通勤(モードチェンジ)」が完了する。
たかが電球、されど電球。 スイッチに触れることなく、光の色とタイミングを支配する。 これこそが、引越し魔がたどり着いた、最もコストパフォーマンスの高いリノベーションである。