2026年2月2日
世間では、女性の一人暮らしや仕事場といえば「2階以上」「オートロック付き」が安全の代名詞のように言われる。 不動産屋に行っても、必ずそう勧められる。
でも、私に言わせればそれは「入らせない」ためのスペックであって、「逃げる」ためのスペックではない。
自宅で打合せをする。相手は仕事関係とはいえ、他人。もしその相手とトラブルになったら?もし玄関ドアの前、唯一の通路を塞がれたら?
逃げ場のないマンションや階段が一つしかないメゾネットの奥の部屋でそうなったら、それはエンジニアリングで言うところの「デッドロック(行き詰まり)」、将棋で言えば「詰み」だ。
窓から飛び降りるわけにはいかない高さで、唯一の出口を物理的に遮断される恐怖。これは精神衛生上、非常によろしくない。
だから、地方都市に暮らす私は、あえて「昭和の古い一戸建て」を選ぶ。
古い日本家屋の設計思想には、素晴らしい「冗長性」がある。部屋と部屋が襖や戸で繋がっている「回遊性」。 そして何より、庭に面した大きな「掃き出し窓」。
打合せスペースを掃き出し窓がある1階の部屋にすることで、万が一、廊下への退路を断たれても背後のガラス戸を開ければそこはもう「外」だ。 靴なんて履かなくていい。サンダルのまま庭へ飛び出せば、それで私の勝ちは確定する。
この確信があるからこそ、他人を家に入れても冷静に打合せができる。
最新のセキュリティシステムは、犯行を「記録」してくれるが、私を「逃がして」はくれない。 私にとって最強のセキュリティは、電子ロックではなく「潤滑油の効いたサッシの鍵」なのだ。
古い家は隙間風が入って寒いが、その隙間こそが私の「生存ルート」だと思えば、多少の寒さも愛おしく……思えるかは、暖房代次第。