建築設備エネルギーラボ合同会社

「金沢人の見栄」を捨てた日。四畳半が私のコックピットになった。

この家に住んで数年、一度もちゃんと座られることのなかった「お客様用」のソファ。 それは「いつか来る誰か」のため、そして「ちゃんとした家に見せたい」という、私の「金沢人の見栄」そのものだったのかもしれない。

今日、私はその見栄を捨てることにした。

きっかけは単純な実験だ。「仕事部屋にギターと機材を置いて効率を上げたい」ただそれだけのために、場所を塞いでいたソファをキッチン横の四畳半に追いやった。

その四畳半は、もともと私が「音楽室にしよう」と思い立ち、実験的に壁をデコレーションした、とりあえずの仮置き場。そう思っていた。

でも、移動したソファに腰を下ろしてみたらどうだろう。

背中には壁、目の前には石油ストーブ。 そして見上げれば、かつて私が「吸音実験」として作った、着なくなった服を詰め込んだボックスアートたち。

狭い。でも、とてつもなく温かい。

広い部屋では感じられない「守られている感」がそこにある。まるで、自分専用のコックピット。

ああ、私は今まで何を飾っていたんだろう。見栄を張って広い場所に「絵になるように」置くよりも、たとえ四畳半でも、熱源と壁に囲まれて「自分が心地よいように」使う方が、ずっと豊かじゃないか。

壁の吸音ボックスも、難しい機能の話はさておき、この狭い空間を静かに包み込んでくれている。捨てられなかった古着たちが、今は私の耳と心を休ませてくれている。

仕事部屋を快適にするはずが、逃げ場所の方を最高にしてしまった。でも、これが「引越し魔」である私の、等身大の暮らしなのだ。

今日はここから動けそうにない。

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