重低音と熱暴走の空間:おっさんの園の崩壊、AIの完璧な図面、そして「ハコ」すら不要な究極のDTM世界への妄想
自分の「配線図」をリバースエンジニアリングしたら、とんでもない特注ハイブリッド機材だった話
ギターの練習をしていて痛感することがある。「Fコードが押さえられない」とか「指が開かない」とか、そういう表面的な問題ではない。もっと根本的な、私の体の「構造」の話だ。
右肩が勝手に前に出る。集中すると呼吸が浅くなる。これ、30年以上デスクワークで図面を描き、マウスを握り(いや、私は左手マウスだが)、家族の介護で人を支え続けてきた結果、私の体に刻み込まれた「癖」だ。
設備屋として仕事をしていると、建物や機械には必ず「メンテナンス(維持管理)」が必要だと嫌というほど思い知らされる。フィルターは詰まるし、ベルトは緩むし、配管は錆びる。だから私たちは「保全計画」を立て、提案する。
ふと思った。「人間を維持するのって、設備の管理よりよっぽど大変じゃないか?」
一番の問題は、人間には「竣工図(設計図)」も「取扱説明書」もないことだ。
ポンプ一台買ったって、分厚いマニュアルがついてくる。「異音がしたらここを締め直せ」「5年ごとにオーバーホールせよ」と書いてある。 だが、人間はオギャーと生まれた瞬間、マニュアルなしで放り出される。
「胸を張って!」と小学校の先生に言われるが、具体的な張り方は教わらない。だから私は長年、間違ったフォームで(猫背、巻き肩、反り腰のフル装備で)生きてきてしまった。親も教師も、正しい歩き方なんて教えてくれなかった。いや、彼ら自身も知らなかったのだろう。
私たちは、親という「古いOS(基本ソフト)」をなんとなくコピーして、バグを含んだままのシステムで何十年も稼働し続けているのだ。
建物管理には「事後保全」と「予防保全」という言葉がある。「事後保全」は、壊れてから直すこと。多くの人が病院に行くのはこれだ。「予防保全」は、壊れる前に計画的に手入れすること。
私はこれまで散々、整体や鍼灸に行ったが姿勢は治らなかった。それは彼らが悪いのではなく、彼らは「ハードウェア(筋肉の凝り)」しか触れないからだ。「脳の指令(ソフトウェア)」のバグを書き換えられるのは、運用管理者である私しかいない。
ギターという「超高感度なセンサー」のおかげで、私は自分の体のバグに気づいた。そして今、自分で自分の姿勢をチューニングしている。「胸を張る」のではない。「胸を上げる」「縦に伸ばす」のだ。この感覚を見つけるのに50年以上かかったが、こんなのどこの医者も教えてくれない、私だけの「運用マニュアル」だ。
私の足の小指が外側を向いているのも、長年の荷重に耐えた「経年変化」だ。完璧な新品には戻れないけれど、運用方法を工夫すれば、まだまだ現役で稼働できる。なんなら若い頃よりもセンサーの感度は高くなっていて、自分の体のちょっとした変化がわかるようになっている。
自分の体のオーナーである以上、このポンコツで愛おしい設備の面倒を、最後まで私が見てやるのだ。こればっかりは私にしかできない。