重低音と熱暴走の空間:おっさんの園の崩壊、AIの完璧な図面、そして「ハコ」すら不要な究極のDTM世界への妄想
自分の「配線図」をリバースエンジニアリングしたら、とんでもない特注ハイブリッド機材だった話
PM(プロパティマネジメント)の仕事は「オーナー代行」だ。オーナーの利益を守るのが使命だ。頭ではわかっていた。けれど、実態は何もわかっていなかった。
私は設備設計図なら描いていないことまで読める。しかし、目の前にある「賃貸借契約書」は、ただの呪文の羅列にしか見えなかった。ここには、電圧も流量も書いてない。あるのは「権利」と「義務」という、形のない概念だけ。
さらに悪いことに、本来私がコントロールすべき「仲介」は、私よりも遥かにオーナーと親密でツーカーの仲だった。「お前は黙ってろ」という空気の中で、私はPMとしてどう振る舞えばいいのか、完全に方向感覚を失っていた。
そんな状況下で、事件は起きた。仲介が連れてきたテナントが、エアコン工事だけ済ませて連絡を絶ったのだ。いわゆる「夜逃げ」ならぬ「入居前逃亡」。
本来なら、ここで私が法的リスクを判断し、陣頭指揮を執るべきだっただろう。だが、素人の私にそんなことができるはずもない。
動いたのは周りだった。仲介が、オーナーに都合の良い「ストーリー」を作り上げた(らしい)。 そして私の上司が、そのストーリーに沿った「処理手順」を私に指示した。
「現場に行って、これを貼れ」「この時間まで待機しろ」「もし誰か来たらこう言え」
私は言われた通りの手順で、ロボットのように動いた。そこに私の意志は1ミリもなかった。
指示通り、私は日付が変わるまで現場に張り付いた。誰も来ないガランとした店舗で、めまいに耐えながら、ただ時計の針が進むのを待っていた。
「仲介がオーナーと話をつけている」「上司が指示を出している」だから、全てうまくいっているはずだ。
私はその夜、オーナーへの報告をしなかった。「私が電話するまでもない」いや、心のどこかで「怖いから関わりたくない」と思い、思考を停止させていたのかもしれない。
翌朝、電話が鳴った。オーナーからだった。「なんで報告がないんだ!」
受話器から飛び出してきた激怒の声。私は混乱した。「え? 仲介が話してるんじゃないの? 私は言われた通りに現場を守ったのに」
でも、怒号を浴びながら、冷たい事実だけが突き刺さった。シナリオを書いたのが誰であろうと、指示を出したのが誰であろうと、「PM(責任者)」の看板を首から下げていたのは、私だったのだ。
中身のない操り人形が、看板だけ下げて突っ立っていた。オーナーから見れば、それは「職務放棄」以外の何物でもなかったのだ。めまいが、さらに激しく世界を揺らした。